きんいろの、たてがみ

ACで性別違和な人の備忘録

私はたまにしかキッチンを使わない。
夕食は相棒が作ってくれるから、朝と昼のご飯だけどうにかすればいい。

食器は、食器棚には置かれていない。
シンクとコンロの間のスペースに、洗って濡れたまま重ねられている。
キッチンの床には、卓上コンロと土鍋が置かれている。

相棒は、その生き方で今まで腹を下したりしてこなかったらしい。
足に卓上コンロが当たって、危ないとも思わなかったらしい。

私は、相棒とは別個体だ。
腹の強さも違う。足の動かし方も違う。
一緒に暮らす人が、腹下ししないように。怪我をしないように。そう気を付けるって、なかなか出来ないものなのだろうか。

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相棒は、脱いだ服はその辺に脱ぎ散らかしている。
それを洗濯カゴに入れるのは、私。
それを洗濯機にいれるのも、私。
何故そうするか。
部屋に埃が溜まってほしくないから。
定位置管理をした方が、楽だから。

私は、脱いだコートはハンガーにかける。
汗を吸っているだろうから、乾かすため。
服の型崩れを少なくして、長く着たいから。
床に置いて、床のスペースを減らしたくないから。
定位置管理をして、次に使うときに探す手間を省くため。
異常思考なのだろうか。

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新しい土地は、人口が多い。
何処に行っても、他人との距離が近い。
自分のパーソナルスペースに、他人が侵入してくる。
車で、ちょっと遠くのお店まで…と思っても、駐車場がそもそもない場合もある。
センターラインが黄色い道を走っていたと思ったら、いきなりセンターラインすらない道になる。
徒歩、電車、バス。それらが発達している地域。

何処で、一人の時間を作ったらいいんだろう。
自分が感じている以上のストレスを、抱えているんだと思う。

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好きだから、セックスしたい。
好きだから、子供が欲しい。
その気持ちも解る。その気持ちは否定しない。
だったら、それを押し付けて良いものか。

好きだけど、セックスしたくない(そんな気分になれない)。
好きだけど、子供は欲しくない(育てる恐怖がある)。
そう思う僕の気持ちは、蔑ろにされるべきものなのだろうか。

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一緒に暮らす人がいる。
その人の事も考えて、色んな事をした。
優先順位を決めて、僕のしたいことを後回しにもした。
それが、否定されたら、何をしたらいいんだろう。

何で、一緒に暮らす意味があるんだろう。
何で、結婚する必要があったんだろう。

別々に住居を構えて、生きても良かったんじゃないか、と思う。
わざわざ婚姻関係を結ばなくても、良かったんじゃないか。

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僕は、僕だ。

セックスしたら、女だと思い知らされる。
だから、言わないけど常に、「君も挿入される立場になればいいのに」と思っている。

自分の好きなものを、真っ向から否定されればいい、と思っている。

僕の事を「世界で一番大切にしたい人」と言うのなら、同じように大切に思ってくれる人に、「帰ってこなくていい」と言われたらいい。

僕は、とても××たい気持ちだよ。