きんいろの、たてがみ

ACで性別違和な人の備忘録

「僕」とは。

昔々、まだ僕が義務教育の年齢の頃、僕は僕の中に数人の違う人を飼っていた。

人格とは違ったけど、僕自身の思考に基づいてたけど、でも、僕から見たらお姉さんやお兄さん、妹や弟みたいな存在が「居た」。

過去形なのは、みんな、僕の一部になってしまったから。
一人を除いて。

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一人だけ、「女の子」が、どうしても一つになれなかった。

今で言うと「インナーチャイルド」なのかな、と思う。
でもその当時は、この身体と一緒に生まれて、その年齢までこの身体の持ち主だった子。
いつも僕と一緒にいて、僕と同じ姿をしていて、この身体の名前と同じ名前を名乗っていた子。だと、記憶している。

僕が、他の人たちと一つに纏まった時、その子は9歳に退行して、ずっと奥の真っ暗な部分に閉じ籠って眠ってしまった。

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今僕は、実家で、自分の部屋の片付けをしている。
終わらない。終わらないのは、実家がストレスなんだと思う。

全部捨てたい、と思う。
捨てる為に、分別しなくては、と思う。
やる気がでない。終わらない。早くパートナーのところに帰りたい。終わらせなきゃ。

「女の子」が「僕」に全部を託したように、僕も「誰か」に全部を託してしまいたくなる。

そうしたら、その「誰か」は、パートナーの愛してくれてる「僕」とは別物になるのかな。
少しだけ、それでもいいか、と思ってしまった。

「僕らしさ」なんて、本当はずっとなかったんじゃないかって、思ってしまった。